【書評】シンプルな戦略:戦い方のレベルを上げる実践アプローチ
突き詰めた戦略はシンプルになるという。
逆に言えばシンプルな戦略にならなければそれはまだ考えぬかれてないということである。
この本で言われてるのはとにかく考えぬくという点だ。
十数人の会社でも社員全体を引っ張っていく戦略を立てるのは難しい。
それが何百人ものを抱える大企業ならなおさらである。
それ故に経営者は玉虫色な戦略を立ててしまう。
そもそも戦略になっていない戦略が往々にしてあるという。
適正な戦略の三大要件は筆者によると以下の3つだ。
1.顧客に十分な価値を提供できるか
2.他社との差別化が十分になされているか
3.この戦略によって自社は儲けられるのか
この三つがすべて満足できて適切な戦略となりうる。
更にこれらについて具体的かつ、実行可能な内容を立てていく必要がある。
もちろん容易ではなく経営者が考えに考え抜いて決めるものだ。
この本では上の三つの要件を満たす戦略の作り方の紹介がされている。
面白いと思ったのは、あえて高い目標を設定することで柔軟な視野や発想の出発点になるというものだ。
それぞれの企業や業界には境界条件という常識や通例など様々な制約がある。
それらを取り払うにはあえて高い目標を立てること(売り上げを2倍にする等)が必要だという。
もちろん高いリスクが伴うので経営者は判断を求められる。
この本で紹介されている企業
9983:ファーストリティリング(ユニクロ)
2587:サントリー食品インターナショナル
サントリーの話が出てくるが直接この企業の名前はでてこない、今まで上場してこなかったサントリーが子会社を上場させたのはM&Aのための資金集めであることは名前からも明白だろう。
シンプルな戦略、成長企業を見極める一つの方法になりそうだ。